PET(ポリエチレンテレフタレート)とは
PET(ポリエチレンテレフタレート)は、透明性・強度・耐薬品性に優れたプラスチック素材で、飲料ボトルや食品容器でおなじみの素材です。当社では、このPETを板材として使用し、切削・曲げ・接着などの加工を行い、各種カバー・保護板・機械部品などの製品に仕上げています。
■ 特長
- 高い透明性
ガラスのような透明感があり、視認性を保ちたいカバー類に最適です。 - 優れた強度と耐衝撃性
軽量でありながら割れにくく、強度を求められる用途に対応します。 - 耐薬品性・耐油性
アルコールや油に強く、医療機器や工場設備にも安心して使えます。 - 耐熱性(約60〜70℃)
日常使用での温度変化にも安定した性能を発揮します。

■ 加工の特徴
PETは、切削加工に適しており、精密な寸法での仕上げが可能です。また、熱を加えることで曲げ加工もでき、形状の自由度が高いのが特長です。接着については、アクリルなどと比べやや難易度がありますが、適切な方法でしっかりと仕上げることが可能です。
アクリル板とPET板の違い
当社では、用途や目的に応じて様々な樹脂素材を使い分けています。アクリル板(PMMA)とPET板(ポリエチレンテレフタレート)は、どちらも透明性の高いプラスチック素材ですが、性能や加工性には明確な違いがあります。
- 仕上がりの美しさを重視するならアクリル板が適しています。看板、ディスプレイ、インテリアなどに最適です。
- 割れにくさや薬品への強さが求められる現場ではPET板が有利です。医療機器のカバーや工場の安全ガードなどに活躍します。
特性 | アクリル板 | PET板 |
---|---|---|
透明度 | ◎(非常に高い) 光の透過率が高く、ガラスに近い美しさ | ○(十分高い) アクリルほどではないが、クリアで透明感あり |
耐衝撃性 | △(割れやすい) 硬くて脆いため、衝撃でひび割れやすい | ◎(割れにくい) 柔軟性があり、衝撃に強い |
耐薬品性 | △(薬品に弱い) アルコールや一部溶剤で劣化する可能性あり | ◎(薬品に強い) アルコールや油への耐性が高い |
耐熱性 | ○(約80℃まで) 耐熱性はあるが、長時間の高温には注意 | △(約60〜70℃) アクリルよりやや劣る |
加工性 | ◎(接着・切削・レーザー加工が容易) 美しい仕上がりが可能 | ○(切削・曲げは得意、接着はやや難) レーザー加工は不向き |
コスト | ○(比較的安価) | △(やや高価) |
PET素材の種類と特徴
PET(ポリエチレンテレフタレート)には、用途や性能に応じた複数のグレードがあります。ここでは、代表的な「G-PET」「A-PET」「抗菌加工PET板」についてご紹介します。
■ G-PET(グリコール変性PET)
正式名称:PET-G(ポリエチレンテレフタレート・グリコール変性)
G-PETは、一般的なPETにグリコールを添加し、加工性を高めたタイプです。
- 曲げ加工や真空成形がしやすい
- 割れにくく、耐衝撃性が高い
- 接着や印刷適性も良好
- レーザー加工にはやや不向き
用途例: 機械カバー、透明仕切り板、医療・衛生用パネル、ディスプレイ部材
■ A-PET(アモルファスPET)
正式名称:Amorphous PET(非結晶PET)
A-PETは、透明性に優れた非結晶タイプのPET素材で、主に食品包装などに使われます。
- 高い透明度と光沢感
- 食品衛生性に優れ、リサイクル性も高い
- 耐衝撃性・耐薬品性に優れる
- 熱成形にはやや制限あり
用途例: 食品トレー、パッケージ、透明容器、POP素材
※当社で扱うのは板材のみになります。成型加工は行っておりません。
■ 抗菌加工PET板
PET板の表面に抗菌性能を付加したタイプです。近年の衛生意識の高まりにより、医療・公共施設などでニーズが増えています。
- 菌の繁殖を抑制
- 透明性や加工性は通常のPETとほぼ同等
- 人が多く触れる場所に最適
用途例: 医療現場の仕切り板、受付カウンター、エレベーターパネル、店舗什器 など
「加工のしやすさを重視したい」「清潔性が重要」「コストとのバランスを取りたい」など、用途によって最適な素材は異なります。当社では、目的・使用環境に応じて最適なPET素材をご提案いたします。お気軽にご相談ください。