彫刻の技術
アクリルをはじめとする樹脂板に文字やデザインを彫刻する方法には、主に「レーザー彫刻」と「NCルーター彫刻」の2種類があります。それぞれに特徴があり、用途や仕上がりのご希望に合わせて使い分けています。どちらもコンピュータで制御するため、正確で再現性の高い彫刻が可能です。
アクリルへの彫刻をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。ご希望の仕上がりイメージや使用用途に合わせて、最適な加工方法をご提案いたします。
加工方法 | 細かい表現 | 彫刻の深さ | 立体感 | 向いている用途 |
---|---|---|---|---|
レーザー彫刻 | ◎(非常に得意) | △(浅い) | △ | 表札、装飾、記念品など |
NCルーター彫刻 | △(やや苦手) | ◎(深く彫れる) | ◎ | 看板、銘板、機械部品など |
NC彫刻
NC加工機の回転する刃(エンドミル)でアクリルを削っていく加工方法です。素材をしっかり削るため、彫刻の深さや立体感を出すことができます。刃先角や形状、彫る深さなどによって同じデータを用いた彫刻でも様々なバリエーションが生まれます。工具の形状を活かした切子のような装飾的な彫刻ができます。




- 特長
- 深く彫刻でき、立体感のある仕上がり
- 太めの文字やシンプルな図形に向いている
- 加工中に切削音が出るが、加工精度は高い
- 適した用途
- 看板・銘板・パネルなど屋外用の表示物
- 深く彫りたい番号プレートや機械銘板
- 塗装や着色による仕上げを前提とする製品
- 注意点
- 微細なデザインの再現には不向き
- 切削工具を使うため、加工時間がやや長めになることがあります
表彫り・裏彫りについて
表彫り(前面彫り)
表彫りは材料の表面となる部分に直接図案を彫る方法です。触ると彫刻の凹凸が感じられ、立体的な仕上がりを楽しめます。
裏彫り(裏面彫り)
裏彫りは、反転させた絵柄や文字を材料の裏面から彫刻する方法です。表面を触っても彫刻の凹凸はありません。彫刻面が保護されるので耐久性が高くなります。表面は滑らかで美しい光沢を保てます。

項目 | 表彫り | 裏彫り |
---|---|---|
視認性 | 高い | 光の角度や背景によって変わる |
表面の質感 | 凹凸感があり、彫刻面が触れる | 表面はツルツルのまま |
見た目の印象 | 立体感あり、クラフト感や工業感 | 高級感・奥行きのある印象 |
傷のつきにくさ | △(彫刻面が露出) | ◎(彫刻面が裏側で保護される) |
塗装や着色 | 可能 | 着色は裏面から |
レーザー彫刻
レーザー光線の熱で材料を溶かして彫刻します。工具のサイズに影響されないので微細な加工も可能です。高精度で細かなデザインや文字の再現に優れており、ノベルティや表札、アート作品などに広く使用されています。写真を彫刻で再現することもできます。




- 特長
- 細かい模様や小さな文字に最適
- 焦げ目の少ない綺麗な仕上がり
- 彫刻深さは浅め(表面加工)
- 適した用途
- 表札・名札・アクリルプレート
- ノベルティグッズや記念品
- ロゴ・図案の装飾
- 注意点
- 彫刻の深さはあまり出せないため、立体感よりも「精密さ」を重視する場面におすすめです。
彫刻材料の選び方
アクリル板にはキャスト材と押出材があります。キャスト板は熱に強く硬い、押出材は熱に溶けやすくキャスト材に比べ柔らかさがあります。
彫刻した時には、硬度があるキャスト材は白くクッキリと彫刻され、押出材では透明感のある仕上がりとなります。
それぞれの材料の特長については、材料について-アクリルのページをご覧ください。


墨入れについて
彫刻後の溝に塗料を流し込むことを墨入れといいます。墨入れすることで、可読性、視認性が高まるので、ネームプレートや銘板、キーホルダー、サインなどでよく利用されています。

下:墨入れ後

