アクリル板とは
アクリル板は、「アクリル樹脂(PMMA)」と呼ばれるプラスチック素材からできた透明な板材です。ガラスのような透明感と美しい光沢を持ちながら、軽量で割れにくいという特徴があります。
また、アクリルはリサイクルが可能な素材であり、燃焼しても有害ガスをほとんど出さないという特徴があります。環境面への配慮が求められる現代においても、安心してご利用いただけます。
当社では、透明アクリルのほか、乳白・黒・カラー・ミラータイプなども取り扱っています。厚みも1mm~20mm以上まで、用途に合わせてお選びいただけます。
- アクリル板の主な特長
- アクリル板の種類と違い ~キャスト材と押出材の特徴比較~
- アクリル板の表面仕上げの違い ~「つやあり」と「マットタイプ」~
- 耐荷重の目安
- アクリルミラー板とは ~軽くて割れにくい鏡素材~
- 耐衝撃性に優れた「ゴム入りアクリル板」について
アクリル板の主な特長
- 高い透明度
光の透過率は約92%と非常に高く、ガラスよりもクリアに見えるとも言われます。 - 軽くて丈夫
同じ厚さのガラスの約半分の重さで、割れにくいため安全性にも優れています。 - 加工しやすい
切断や穴あけ、接着、曲げなどが可能で、デザインの自由度が高い素材です。 - 経年劣化に強い
屋内での使用においては黄ばみにくく、長期間美しさを保ちます

アクリル板の種類と違い
~キャスト材と押出材の特徴比較~
アクリル板には大きく分けて2種類の製造方法があります。
それが「キャスト板(キャスト材)」と「押出板(押出材)」です。
どちらもアクリル樹脂から作られた透明な板材ですが、製法の違いにより性質や価格が異なります。
当社では、用途やご希望の仕上がりに応じて、最適なアクリル材をご提案しています。
「どちらを選べばいいかわからない」という場合でも、お気軽にご相談ください。加工性・価格・仕上がりなどを総合的に考慮し、最適な素材をご案内いたします。
■ キャスト材(キャスト板)
液状の樹脂をガラス型に流し込んで固める製造方法
- 表面が滑らかで光沢があり、美しい仕上がり
- 加工後の寸法安定性に優れている
- 厚みのバリエーションが豊富(薄板〜厚板まで対応)
- 熱加工や曲げ加工にも強く、割れにくい
用途例: 高級ディスプレイ、什器、看板、アクリル工芸品、表彰盾 など
■ 押出材(押出板)
溶かした樹脂をローラーで押し出して連続的に成形する製法
- コストパフォーマンスに優れ、比較的安価
- 板厚が均一でレーザーカットに適している
- 同じ厚みならキャストより軽量で柔軟性がある
用途例: 屋内のパーテーション、POP什器、簡易ディスプレイ、カバー材 など
■ 選び方のポイント
キャスト材と押出材は、性質は異なりますが、一般の方が一目見て見分けがつくほどの差はありません。弊社では安価な押出材でも、クラックがなく透明感のある接着になるよう工夫おります。
特性 | キャスト材 | 押出材 |
---|---|---|
価格 | やや高価 | 安価 |
加工精度 | 高い | 標準的 |
接着 | やや手間がかかる | 溶剤接着に向いている |
板厚の選択肢 | 多い(厚板対応) | 薄板中心 |
レーザー彫刻 | 白くはっきりとした仕上がり | 透明感を残した仕上がり |
アクリル板の表面仕上げの違い
~「つやあり」と「マットタイプ」~
アクリル板には、表面の仕上がりによって主に2つの種類があります。
それが「つやあり(グロス)」と「マット(つや消し)」タイプです。
どちらもアクリル素材の透明感や加工性はそのままに、用途や仕上がりの印象が異なります。

■ つやありアクリル板(グロスタイプ)
- 鏡のような高い光沢と透明感
- 見た目が美しく、高級感のある仕上がり
- 光を反射しやすく、照明下で輝きが際立つ
- 表面にホコリや指紋が付きやすいが、拭き取りも簡単
■ マットアクリル板(つや消しタイプ)
- 表面に細かな凹凸があり、光を拡散して反射を抑える
- 柔らかく落ち着いた印象
- 指紋やキズが目立ちにくい
- 片面だけマットのものと、両面マットのものがある
■ 選び方のポイント
特徴 | つやあり | マットタイプ |
---|---|---|
見た目 | 高級感・透明感 | 落ち着いた印象・拡散光 |
光の反射 | 強い | 少ない |
指紋・キズの目立ち | 目立ちやすい | 目立ちにくい |
加工性 | 同等 | 同等 |
用途例 | ディスプレイ・盾 | 間仕切り・案内板 |
耐荷重の目安
アクリル板にものを載せた時に、たわんだり、破損するかどうかは、「板厚」「支持間隔」「荷重の分布」によって変わってきます。押出板の場合はキャスト板にくらべて若干強度が弱いので、同じ板厚であっても耐荷重は10~20%程度低く見積もるのが安全です。
■ 耐荷重(等分布荷重時 たわみ1/100以下)
板厚 | 支持間隔(スパン) | キャスト板 | 押出板 |
---|---|---|---|
5mm | 300mm | 約10~15kg | 約8~12kg |
8mm | 500mm | 約20~25kg | 約16~20kg |
10mm | 600mm | 約30~35kg | 約24~30kg |
※ 上記はあくまで目安です。使用環境(気温や衝撃、接着方法など)によって変動します。
■ よくある用途と適した厚み
用途 | 推奨板厚 |
---|---|
小型カバー・表示板 | 2~3mm |
中型の棚板・パーテーション | 5~8mm |
大型什器・荷重のかかる棚板 | 10mm以上 |
アクリルミラー板とは
~軽くて割れにくい鏡素材~
アクリルミラー板(通称:ミラー板)は、アクリル板の片面に鏡面加工(蒸着処理)を施した反射板です。一般的には1mm~3mm厚の押出材ベースのアクリル板にアルミ蒸着加工を行ったものが主流です。
見た目はガラスの鏡とよく似ていますが、軽量で割れにくく、安全性に優れた樹脂素材であるため、ガラス鏡では難しい場所やデザインなど幅広い分野で使用されています。空間演出・安全対策・軽量化を求められる現場に最適な選択肢です。
■ 特長
- ガラスの約半分の軽さで扱いやすい
- 割れにくく、万が一の破損時も安全
- ハサミやカッターでカットできる薄手タイプもあり、加工が容易
- カラータイプや表面保護フィルム付きなど種類も豊富
■ 主な用途
- 店舗やイベントブースの装飾ミラー
- 壁面ディスプレイ・看板
- 化粧品什器や雑貨パーツ
- ダンススタジオやフィットネス施設の安全ミラー
- 幼稚園・保育施設での安全な鏡の代用
■ 注意点(使用時のポイント)
- 屋外使用には不向き:直射日光や温度変化により、反りや反射面の劣化が起きやすくなります。
- 映りは若干ゆがむことがあります:特に大型サイズや薄手タイプでは、ガラス鏡ほどの精密な映り込みは期待できません。
- 裏面の保護が必要:反射面は傷つきやすいため、施工時は裏面保護フィルムや貼り合わせが推奨されます。
耐衝撃性に優れた「ゴム入りアクリル板」について
~割れにくさと透明感を両立した進化型アクリル~
従来のアクリル板はガラスなどの素材に比べて軽くて丈夫ではあるものの、用途によっては「割れやすさ」が課題とされることもありました。
この問題を解決するのが、ゴム系の衝撃吸収成分を配合した耐衝撃アクリル板です。
見た目は通常のアクリル板と変わらず透明ですが、衝撃への強さが大幅に向上しており、強度が必要とされる用途にも対応可能です。
■ ゴム入りアクリル板とは?
ゴム入りアクリル板(または耐衝撃アクリル板/改質アクリル板とも呼ばれます)は、アクリル樹脂にゴム系ポリマー(例:ブタジエン系合成ゴムなど)を加えて改質したものです。
この配合により、割れや欠けが起きにくくなり、通常のアクリルの約5〜10倍の衝撃強度を持ちます。
■ 特長
- 高い耐衝撃性
ハンマーなどで叩いても割れにくく、安全性に優れます。 - 優れた透明性
見た目は一般的なアクリルと同様に高い光透過率(90%以上)を確保。 - 軽量で加工しやすい
ポリカーボネートよりも軽くて柔らかく、加工しやすい素材です。 - コストパフォーマンスに優れる
ポリカより安価な場合も多く、コストと性能のバランスに優れる素材です。
■ 主な用途
- 防護カバー、飛沫ガード
- 屋内用パーテーション
- 幼児施設・介護施設などでの安全素材
- 展示品のケース、模型カバー
- 工場内の機械カバーや安全窓
■ 他素材との比較
「割れにくいアクリルが欲しい」「ポリカでは透明度が物足りない」という場合に、ゴム入りアクリル板は最適な選択肢となります。
比較項目 | ゴム入りアクリル | 通常のアクリル板 | ポリカーボネート |
---|---|---|---|
透明度 | ◎ | ◎ | ○(ややぼやける) |
衝撃強度 | ○(約5〜10倍) | △(割れやすい) | ◎(非常に高い) |
加工のしやすさ | ◎ | ◎ | △(硬くてキズ付きやすい) |
重量 | ○(軽い) | ○ | ○ |
コスト | ○(中価格帯) | ◎(安価) | △(やや高価) |